神学院へようこそ、イシュティア


かくして王都に帰り着いたハルミヤ。
神学院に身を隠すことに決めた彼女は、姿と名前を偽ることを決意する。
――イシュティア・ディルカ。
かりそめの名前でかつてのような生活へと戻ろうとするが、周囲はそれを放ってはおかなかった。



蒼玉がひときわ映えて、綺麗だ


学院の生徒の中心人物、セルジュ・フェネオンと、彼の友人たち。
図書室に待ち受けるは、ハルミヤの素性を知るラケイユ・ブラン。
ハルミヤの拒絶は意味を為さず、絡め捕られるように彼らの輪の中に組み込まれてしまう。




ディルカって名前は、そんなに偉いのかよ


妹に会うため、神殿に潜り込むため。
中継点にしか過ぎないと思われた場所のはずだった。
しかし色を変えた環境は、ハルミヤの停滞を許さない。





期待をかければ、落胆する。

思い知らされた。


それがわかれば十分だ。






(――本当に?)
















動きゆく周囲、頑なな自分。断片は指の隙間から零れ落ちていく。
牙を剥く先を見失った獣は、ひととき、その歩みを止める。――止めてしまう。

(ああ)

(もう)



(十分、じゃないか)

「――お願いだから、」







私を、否定しないでくれ
龍翼のディオスクロイ

二幕 さき果てた場所


2014年5月下旬 公開予定




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