結婚を求められたのは、季節柄の強風が吹き始める春の日のこと。
 彼が誠実な人であることは知っている。知り合ったころからずっとよくしてくれたし、非力な私を支えてくれた。なにより、頑固な姉さんの言うことにだって、苦笑しながら従ってくれていた。
 だけれど。
 結婚してほしいと伝えられたとき、指輪を差し出されたあの瞬間。薄情な私がうなずいたのは、決して、彼のことばかりを考えていたからでは、なかった。


 ごうと唸ったエンジンが、うららかな春風をかき回す。空に鳴り渡るのは離陸を促す鐘の音だ。一艇、二艇、続けざまに飛び立った飛空艇の艇底に、赤、青、紫のペンキがまぶしい。
「フィーネルの最新軽量型……」
 ぽつりとこぼす。二本のバゲットが入った紙袋を抱え、飛空艇の行く空を見上げたきり、私はすっかり歩みを止めてしまっていた。
 青空を切り裂くように飛んでいく、飛空艇の軌道は鮮やかだ。一見した限り、また機体が軽くなったらしい。合金の配分を変えたと聞いたから、フィーネル運輸の運賃はしばらく値上がりするはずだ。それでも新型と聞けば客は殺到するだろう……そうつらつらと考えてしまうのは、なまじ知識があるからだ。
 私の作る昼食を待つ人がいる、いつまでも空ばかり見上げてはいられない。けれども次第に表情が曇ることばかりは仕方のないことだった。
「ユニスじゃないか、買い物か」
 肩幅の広い男が、足早に歩み寄ってくる。わたしはうなずき、曖昧に笑ってみせた。
 レオナルド・フィーネル、フィーネル運輸取締役のひとり息子。父のもとで経営を援助するとともに、飛空艇の開発を一手に担っている。この町の産業を支える柱のひとつと言っても過言ではない相手だった。
 彼は私の視線の先を追うと、満足げに目じりを下げる。
「いいふねだろう。また早くなった」
「艇底のカラーリングはレオナルドさんが?」
「ありゃ親父の趣味だ、フィーネルの社章。俺なら白にするな。その方が洗練されて見える」
「エンジンは従来のものですよね」
「代わりに機体を軽くした。同じ燃料で、一割は遠くまで飛ぶ。燃費が格段に良くなったってわけだ……その訊きたがりは姉貴に似たのか?」
 からかい交じりに言われれば、唇を尖らせずにはいられない。レオナルドが軽く笑った。
「なあユニス、キリエはまだ旧型の艇を作っているのか。ごついばかりで鈍間も鈍間、高く飛べない飛空艇を? あんなのに乗りゃ、腰の曲がった爺さん婆さんだってぐっすり寝ちまうだろうぜ」
「クラウェル製作所は安心と安全を売っています。想定航路も平地ばかりですし、高く飛べなくても、航行に問題は」
「乗客が暇を持て余すことが問題じゃないとでも? そもそも、どこの飛空艇だってメンテナンスを重ねているんだ。ほいほい落ちたりしないよ」
 私は顔をよそに向ける。でも落ちたじゃない、と呟くのを、レオナルドに聞かれたくなかったからだ。泣きたくなくても涙がにじんでしまう性質だから、平静を保つのも一苦労だった。
 幸いレオナルドには気取られなかったらしい。彼は「それに」と言葉を継いだ。
「大会も近いだろう。フィーネルは今年も優勝を貰わなきゃならないんでな。もたもたしている暇はねえのさ」
 そこに至り、私の唇は完全に閉ざされる。
 大会。そう、大会だ。
 年に一度、海沿いに広がるこの町には強い潮風が吹き付ける。その季節に重ね執り行われるのが山越えの大会、あるいは単に大会とだけ呼ばれる飛空艇のレースだった。
 艇はこの町を出発地点とし、平原を滑空して、山脈を乗り越えた先の到着点を目指す。優勝者には栄誉が、機体を作った製作所にはその後一年の機体発注が約束される。飛空艇製造が盛んとなった町ならではの催しだ。
 フィーネルお抱えの製作所が優勝旗を独占するようになってから早幾年。彼らから栄光をもぎ取ろうとする技師たちが、今日も工場で精を上げている。それは私の姉さんも同じことだった。
「まあ、せいぜい大会を盛り上げてくれよ。俺たちに追いつけとは言わないからさ」
 言うだけ言って、レオナルドは意気揚々と歩み去る。バゲットの紙袋を抱える私の腕には、思わず力がこもった。
 ここ数年の大会で、クラウェル製作所――姉さんの製作所が作り上げた飛空艇が、山を越えられた試しはない。あくまでも頑丈に、強固に、ともすれば鈍重に製造された艇では、上昇気流に乗りきれないのだ。
 喉をつくため息を止められない。姉さんが旧来型に執着する理由はよくわかっていた。
 ――事実。山越えの大会で不時着を繰り返してきたクラウェルの飛空艇は、けれども、まだひとりの死傷者も出したことがない。

 製作所にたどり着くころには、すっかり昼食の時間を過ぎていた。「おっせえぞユニス! どこで油売ってやがった!」と工具を振り上げ叫んだのはキリエ姉さんだ。
 上下ひと繋ぎの作業着は、洗いきれない油汚れでまだら模様に彩られている。妙齢の女性にしては小柄な体で(みっつ下の私よりも背が低いのだ)、姉さんは、大の男でさえも音を上げるような製造作業をこなしてみせるのだった。
 詰問を受けたところで、レオナルドとの一件を口にすることもできるはずがない。言葉を濁す私の前に、「まあまあ」と副製造長のイベルが割り込んだ。
「叱っていたって昼飯は出てきませんぜ、姐さん」
 熊のような強面で朗らかに笑うものだから愛嬌がある。姉さんはぷっくりと頬をふくらませた。
「まったく、結婚前だからって浮かれてやがる。あたしはまだ認めてねえからな……おいこらイベル、てめえもだ。どさくさに紛れて仕事をさぼるな」
「厳しいなあ義姉さん」
「誰が義姉さんだ。オイル缶に顔突っ込まれてえか」
 恋人ってやつはこれだから、頭がお花畑になってやがる、とぶつぶつ呟きながら作業に戻っていく姉さんを、イベルは苦笑で見送った。それから私をふり返り、「なにかあったのか」と顔を覗き込む。
「……レオナルドさんと、ちょっと」
「また言いがかりを?」
「言いがかり程度なら無視もできるのだけどね」
 馬鹿にされているのは私ではない。姉さんと、ひいては姉さん率いるクラウェル製造所の全員だ。寝ても覚めても旧来型に打ち込む作業員を、フィーネル以外の人々でさえ呆れた目で見つめている。
 けれどもその原因を生み出したのは、きっと、姐さんの頭の固さなんかではなくて――。
「ユニス」
 イベルに名前を呼ばれてしまう。どうやら知らず知らずのうちに険しい顔をしていたようだった。
「だいじょうぶよ」
 ときどきこうして物思いにふけってしまうものだから、きっと心配をかけている。私は足早に勝手場へ向かったけれど、最後まで彼の顔を見ることはできないままだった。

 父さんと母さんは、新型飛空艇のテスト飛行の途中で死んだ。
 私が十歳のころだ。クラウェル製作所はまだ父さんと母さんの指揮のもとにあって、作業長の娘たちをよくかわいがってくれていた。姉さんが勉強に見学にと励んでいた一方で、私はさほどの興味も持てなかったものだから、もっぱら歳若い作業員――それがイベルであったのだけれど――にちょっかいをかけて退屈を紛らわせていた、そんな最中のことだった。
「長距離飛行のテストに行ってくる。父さんたちは二日ほど家を空けるが、いい子でいろよ」
 飛空艇が、また大好きな人たちを遠くにやるのだ。姉さんは大きくうなずいていたけれど、私はいつまでも首を縦に振らなかった。
「いやよ、二日なんて待てないもの。はやく帰ってきてくれなきゃだめ」
 鬼と呼ばれる製造長も、泣きつく末の娘には甘かった。出立当日の朝まで駄々をこね続けた私に、とうとう諦め混じりに言ったのだ。
「帰りは全速力を出してくる。だから一日だけは待っていてくれ、ユニス」
 翌日、クラウェルの新型飛空艇が墜落したとの報せが街を走る。
 頭を撫ぜた温もりは、てのひらを握る姉さんの手に継がれた。妹がどんなに泣きわめいても、姉さんは一粒だって涙をこぼさなかった。
 大好きな人たちを奪っていったのは、飛空艇なんかじゃない。
 私が飲み込めなかったわがまま、こらえられなかった涙は、きっと今も、まだ、姉さんの傍にあるのだ。

 大会までの日付をカレンダーから塗り消して、五日。とうとうその日を翌日に控えた夜、姉さんはすべての作業員を早々に家へ帰らせた。
 ふだんなら日没後まで続く製造作業も、大会前日には夕方前に打ち切られる。大会当日、早朝から行うメンテナンスの集中に支障をきたさないようにするためだ。最後に飛空艇の前に取り残されるのは、決まって姉さんがひとりだけ。機体は窓から差す夕陽によって朱金に彩られていた。
 私が昼どき以外に作業場に入れるのは、そんな大会前日だけだ。艇の前にぽつねんと佇む姉さんの姿は、いつだってひどく小さく見えるのだった。
「いい艇だろ」
 私の影に気が付いて、姉さんは満足げに言った。
 つられるように、ドックに納められた飛空艇を見下ろす。エンジンは最新鋭のもの。馬力の出やすい大型艇にとって、優れたエンジンはこの上ない武器になる。しかしどんなに速力を得たところで、クラウェルの飛空艇に高空飛行は不可能だ。
 例年通り山を越えられず、不時着するのが目に見える――私はそっと姉さんに視線を戻した。無邪気な瞳のきらめきは、両親の死後、初めて自分の飛空艇を作り上げたときと同じものだ。
 だから、口にできるのは一言だけだった。
「ごめんなさい」
 姉さんが眉を揺らす。漂った静寂を、私の嗚咽が埋めていった。
「全部私のせいだわ。クラウェルの飛空艇が空高くを飛べないのも、みんなに笑われるのも、……父さんと母さんが戻ってこなかったのも、全部、全部私のせいだった」
 気を付けて、待っているから、と――どうしてあのとき、伝えることができなかったのだろう。過ぎた加速のせいか、それとも不注意か。ふたりを乗せた飛空艇は大炎上した挙句、ひとりの同乗者も町へは帰さなかったのだ。
 ぼろりと涙がこぼれ落ちる。泣き虫な自分が嫌いで仕方がなかった。泣けばどうにかなるだなんて、今の今まで、一度だって思っていたことなんかないのに。
「ごめんなさい、姉さん、もういいの。もう私、姉さんの傍には近寄らない。あなたの前では泣かない。心配も迷惑もかけないから……だからお願い、造って、姉さん」
 良い艇を。新しい艇を。あなたの望む勝利を、もたらしてくれるような艇を。
 せめて涙が地面に落ちないようにと、私はきつく目を閉じる。姉さんの嘆息が耳に届いたのは、しばらくの無言のあとだった。
「フィーネルんとこのぼんぼんになにか言われたな。イベルがやけに気にしていたから、大方そんなことだろうと思った」
 肩に手が置かれた。うっすらと目を開けば、硬化した皮と、黒々と染みついたオイルの汚れが視界に入る。父さんと同じ形の指先は、そこに力をこめようか、こめまいかと迷っているようにも見えた。
「お前の言いたいことはわかった。ようくわかった。わかったが」
 言葉尻に沈黙。ふらりと顔を上げた私の前で、姉さんはまるで聖母のように微笑んでいた――が、それも即座に一転、掌を振り上げると、そのまま私の頬を張る。痛みに先んじたのは耳を疑うほどに小気味のよい音で、私は束の間、自分が殴られたことに気付けずにいた。
 唇から、あ、うえ、と言葉にならない声が漏れる。けれど姉さんは妹の呆然を許さない。むんずと襟首を掴みあげると、ぎらついた瞳を私に向けた。
「ユニス。いいか、よく聞け。いまてめえがやったのは、フィーネルのぼんぼんよりももっと性質の悪いことだ。自分をけなすふりをして、このあたしを、クラウェルを、そしてイベルをこけにした。結婚もあたしから距離を置くためだったって、お前はそう言いたいんだろう。馬鹿にしやがって」
「だ、だって、私がここにいたら、姉さんはいつまでも――」
「あたしが艇を作るのはあたしのためだ。あの型にこだわるのは、そこから見たい景色があるからだ! お前のためでもお前のせいでもない。あたしの意思を、心を、夢を! 勝手にお前のものにするんじゃねえよ、ユニス」
 姉さんが手を離した途端、私の体は崩れ落ちそうになる。折れかけた膝をすんでのところで押しとどめたのは、最後の最後に残った矜持であったのかもしれなかった。
 地に押し付けた足にあらん限りの力をこめる。姉さんの前から走り去ったきり、その晩、私は家には帰らなかった。

     *

 気流をかき分けて、飛空艇は舞い上がる。髪は朝のうちに編み上げていたため、なびくような毛束もなかったが、飛空艇の行く先を見つめるキリエの横顔には凛としたうつくしさがあった。
 航路は順調、風もよし。踏み切りもまた十分だった。大会に出場した他の飛空艇群を背にやって、キリエは甲板で腕組みをする。艇内から顔をのぞかせたイベルが、彼女を見上げて言った。
「ユニス、応援に来ませんでしたね。いつもならまっさきに『気を付けて』って言いに来るでしょう。喧嘩でも?」
「いいんだよ。いつまでも保護者ヅラさせちゃくれねえだけだ」
 ユニスとのできごとはキリエの胸に秘められている。言い争いから夜をまたぎ、朝になって、大会の開催に至っても姿を現さなかった妹であったが、キリエはそれを意にも介さず、例年通りの支度を整えていた。
 キリエの放任を支えるのは、別れ際にユニスが見せた眼差しと、きつく噛みしめられた唇。泣き虫のくせに聞かん坊な、妹の底意地だった。
「ユニスは大変だ。姐さんも言葉足らずだからなあ」
 ぼやくイベルを、キリエがねめつける。しかしイベルは口をつぐむことをしなかった。
「今年は特に製造に気合が入っていたじゃないですか。景気づけの優勝をくれてやりたかったんでしょう。製造所に置いていくはずの俺まで、わざわざ艇に乗せてくれて」
「うるせえ、いつまでくっちゃべってやがる。乗ったからにはきりきり働け」
 叱りつけこそするものの、イベルの仕事は発着陸の補助のみだ。飛行中の彼が手持無沙汰であることを、キリエもよく知っていた。にやついた強面から不肖不肖に目を背け、ふんと鼻を鳴らす。
「……見えてきたな」
 靄がかっていた山の輪郭が、徐々にはっきりと立ち現れてくる。それを睨みつけて、キリエはイベルを艇内に蹴り込んだ。大きく転がった巨体が文句を言うのも構わず、操舵主の背もたれに手を置く。かれの目がちらりとキリエを見た。
「山です、姐さん。上昇指示を」
「いいや、高度はこれで十分だ。速度を上げろ」
「姐さん?」
 背中に続く飛空艇は、次々に上昇気流を掴んでいるころだ。気でも狂ったかと言いたげな操舵主の頭を、キリエはぽかりとやる。命じた通りにエンジンの出力が高められるのを確かめ、そうして、操縦室の一同を睥睨した。
「てめえら! 歯あ食いしばれ、無様に舌噛んでんじゃねえぞ!」
「ね、姐さん、まさか」
 イベルがさっと顔を青くした。
 キリエは凄絶な笑みを浮かべ、叫ぶ。

「――ぶち込めえええええッ!!」


 堅牢に造り上げた艇首が、山の側面を削り取る。土砂が雪崩でも起こそうかという轟音と振動の向こう側、キリエの目には、あんぐりと口を開いた観衆の姿が見えていた。
 しかし彼女が探したものは、驚愕でも困惑でもない。
 大会の終着点、だだっ広い平原の着陸場にその影を見つけた。今にも泣きそうな顔をして、両手を口元にあてがった妹の姿を。大揺れに揺れる操縦室の中で、製造長は密かに唇を震わせる。
「……ほら、見えたじゃねえか」
 キリエの見たかった景色が、そこにあった。

     *

 平原の空に、紙吹雪が舞っている。
 走り寄って抱きついてみれば、姉さんの体はあまりにも小さかった。祝福の歓声を受けてこぶしを振り上げてみせていたときは、傍らのイベルだって子供に見えてしまうぐらいに、大きく見えていたはずなのに。
 私の耳元には、姉さんの笑い声が絶えず聞こえてくる。悔しくなって背中を叩いても、姉さんの笑声はむしろ大きくなるばかりなのだった。
「ユーニス、ユニス、泣き虫だなあお前。ガキのころから変わりゃしねえや」
「姉さんがいけないのよ、あんな無茶……っ、馬鹿、姉さんの馬鹿!」
「無茶だあ? ばあか。あたしの飛空艇が山なんぞに引っかかって止まるかよ。お前だって、そう思ったからここにいたんだろ」
 背中を撫でるてのひらが、急に優しくなるからずるいのだ。私はそれきり何も言えなくなって、すんと鼻を鳴らす。
「かっこよかったろ?」
「うん」
「自慢の姉さんだろ」
「そんなの、……前からだわ」
「へへ、そうか」
 姉さんが私の身を引きはがす。広くなった視界の中で、クラウェルの作業員が揃って微笑んでいた。昨晩、着陸地点で飛空艇を待とうと町を出ようとしていた彼らに、連れて行ってほしいと願い出たことが思い出される。
 飛空艇を送り出すのに、催促も応援も意味を為さない。必ず帰ってくる艇を、待つ心さえあればいい。教えてくれたのは姉さんだけれど、私の意を汲み取ってくれたのは彼らだった。
「……みんなも。ありがとう」
 声をかければ、老若それぞれの男たちが顔を見合わせて小突き合った。姉さんとの飛行を終えたイベルもまた、ほっと息をついている。彼に労いの一瞥を投げたあと、私は「それにしても」と山をふり返った。
 飛空艇によってぽっかりと削られた山の側面は、今も傷跡を露わにしている。そこに風が吹き付けるせいだろう、先から痛々しい音色が、耳朶を叩いてやまないのだ。
「なんだかかわいそう。まるで泣いているみたい」
 傷ついた飛空艇の姿とともに、数週は町の名物になるはずだ。明日の新聞の一面記事に思いをやって、私は眉尻を下げる。けれども姉さんは「そうか?」と首をかしげ、山上の空を見上げるのだった。
「あたしにはあの山が、指笛を鳴らしているように聞こえるけどな」
 勝者たるあなたに。――そして花嫁になる私に、と。
 薬指の円環が、姉さんにうなずくようにきらりと光る。風は私の涙を乾かして、遠く、遠く、平原の果てまで走っていった。



(創作企画「宿語りのシーガル」提出作品)


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